走姿顕心vol.4

ニューイヤー駅伝回想録

王者の貫禄を見せた旭化成

2019ニューイヤー駅伝が終了し少したちますが、旭化成とMHPSの息の詰まるような接戦を思い出すと未だに興奮しますね。

例年、私は群馬県庁前のスタート地点の緊張感漂う中で、1区の選手を送り出す役目をしてきました。今年は久々に一視聴者という立場でゆっくりテレビ観戦をさせていただきました。プレッシャーなくじっくり駅伝を楽しむのいいもので、お陰で色々なチーム事情が掘り下げて見えてきました。

私が7年間在籍した旭化成陸上部、そして最後まで旭化成と優勝争いをしたMHPSの【黒木監督】が同郷宮崎県出身という思い深いチーム同士の熱戦でいつも以上に応援に力が入りました。宮崎で応援テレビ観戦されていた方々も複雑な心境だったのでは?

また、レース序盤で私が昨年までチーム在籍し勧誘に関わったトヨタ紡織の外国人【ケイタニー選手】が一時トップを走るという力走にも興奮を覚え『見込通りだった!』と嬉しさも抑えきれませんでした。

なかでも、見どころはやはり『4区』

区間賞候補の本命だったHONDA設楽選手の欠場でMHPSの【井上選手】に注目が集まりました。前半から攻めの走りをして中間点あたりで先頭に立つと終盤もペースが衰えず30秒以上の差を付けて5区に繋いだ。

井上選手は、実績も素晴らしいがマラソン練習で培った持ち前の『スタミナ』と『強靭な精神力』から好位置で襷をつなぎ、昨年の東京マラソンやアジア大会から更に成長したように思えました。

井上選手、是非マラソンでの日本記録更新にチャレンジしてほしいですね!

勝負の分かれ目『6区』

前回のブログvol.3で箱根駅伝は8区が一つの勝負ポイントとなって来ている傾向をお伝えしましたが、このニューイヤー駅伝ではここ近年6区が勝負ポイント区間として着目されています。

優勝した旭化成は、2年連続で区間賞を獲得している市田選手を今回もここ6区で起用。34秒先行していたMHPSが逃げ切るかと思われたものの終盤『市田選手』の脅威的追い上げで見事に逆転! 2秒差で7区【大六野選手】に襷を託し、ここで旭化成の優勝を確信した方も多いと思う。

しかし、MHPS【岩田選手】の『粘り強い走り』で旭化成との手に汗握るマッチレースとなった。追いすがる富士通とトヨタ自動車は必死に差を詰めようと前半からハイペースのリスクを背負い攻めて来るが前走する2人には届かなかった。

アンカー7区は、スタート直後からほぼ向かい風を受ける難しいコースである。大六野選手が終始レースの主導権を握り両チームの勝負は群馬県庁前の直線道路まで持ち越され、最後は日本選手権10000mチャンピオンの大六野選手が持ち前のラストスパートで振り切り旭化成は3連覇を果たした。

駅伝とマラソン

観戦された皆様もMHPSの各区間で粘り強い走りを見られた事と思いますが【井上選手】を筆頭にMHPSはマラソン主体のチーム作りに長年取り組んで来た事がようやく開花したのではないでしょうか?合同合宿などでも他のチーム選手が驚くほど、ずば抜けた練習量と聞きます。またニューイヤー駅伝出場チームの中で唯一『マラソン部』として活動していますね。

昨今駅伝がマラソンの弊害になっているという声も聞かれる中、こうしてマラソンに主軸を置いたチームが優勝争いをした事で『懐かしい時代が戻って来た』と感じた陸上関係者も少なく無いのではないだろうか?

駅伝とマラソンは別物ではなく、スピード化したマラソンに対応していくためには駅伝の走りが必ず生かされる。日本の伝統文化の『駅伝』は、東京オリンピックで必ず日本にメダルをもたらせてくれるものと思います。私もそれを信じて今後の指導・育成に携わっていきたいと思います。

蛇足

日曜8時からNHKの「いだてん」を見れば、金栗四三先生のマラソンに掛ける想いや駅伝の誕生について知る事ができますね。

次回の更新もお楽しみに!

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