走姿顕心 vol.3

第95回箱根駅伝

〜勝負を決める8区〜

往路では3区、4区、5区と実に3区間において区間新記録が更新され、近年における学生陸上界のレベルアップとアイテム(シューズ等)の進化を強く感る大会。

東洋大学は大会新記録での往路連覇、二位は1分14秒差で東海大学、三位は2分44秒差で大躍進を遂げた國學院大学。5連覇を狙う青山学院大学は5分30秒差の6位で復路スタートの朝を迎える。

見所の一つでもある「山下りの6区」は青山学院大学の小野田選手が57分57秒と驚異的な区間新記録をマークし流れを引き寄せたかに見えた。しかし、東海大学の中島選手、東洋大学の今西選手も区間記録に迫る好タイムの接戦区間となり、二校は流れを渡すことなく7区へ繋いだ。

山下りに起用される選手はスピードランナーが比較的多い。当日、解説の渡辺康幸氏(住友電工監督-早稲田OB)も話されていたが、フォアフット着地で重心移動の上手い選手がスピードを殺さずに走れるため起用される事が多い。メジャーなランナーで言うなら大迫傑選手の様な走りである。

合わせて、後半戦を恐れず「攻めの精神」の持主でないと攻略は難しい区間である。

私も学生時代に試走でのみ走ったが、それでも2〜3日は大腿四頭筋の筋肉痛で動けなかった記憶がある。わたしには不向きだったようだ。

例年6区で1分から1分30秒ほど貯金を作って来た『青山学院大学』にとって、今西選手(東洋大)と中島選手(東海大)の好走で15秒ほどしか差が詰まらなかった事は、例年とは違う異例の展開での復路スタートだったであろう。

7区でゲームチェンジャーとして託された青山学院大学の【林選手】は、前年の区間記録を大幅に更新する勢いのある「攻めの走り」を見せた。

一方、ここで流れを大きく変えたのが、東海大学の阪口選手! 学生トップレベルの安定した走りを見せ、粘る東洋大学小笹選手の背後まで一気に迫る走り。

ここで東洋大学との差は4秒! 東洋大学にあった主導権が完全に東海大学へ変わる瞬間でだった。

『勝負区間となった8区』

であるが、ひと昔前まで8区と言えば10番目の選手が起用される繋ぎの区間と言われ、無難に次の9区に繋ぐことだけが求められていたと思う。

今大会五連覇を目指す『青山学院大学』は前大会までこの8区で4年連続で区間賞を獲得している様に、この区間を重んじ、特に第93回、第94回は異例とも言えるエース下田選手をここ8区に起用し優勝を確実なものにしてきたように思う。

今回、優勝した東海大学も8区に主力選手である小松選手の起用が見事に大当たり!

小松選手自身「こんな走りが出来るとは考えていなかった」とコメントしているが、これを予測して起用した監督の青学攻略の戦略にも脱帽である。

私も第70回・第71回大会と2年連続この8区で区間賞を頂いたのだが、第71回大会では区間新記録を更新しながらもそのタイムは【1時間06分03秒】と、今回更新された記録と比較して約2分も遅いタイムであった。 改めて、「箱根の攻略方法の変化」と「学生のレベル向上」を感じ取れる区間の一つとなった。

今後も8区は勝負を左右する重要区間となっていくのであろうか?

続いて、終盤9区・10区での東海大学は、王者の風格すら感じる落ち着いた走りで首位をキープ。【10時間52分09秒】という驚異的な大会新記録で『初優勝』を果たした。

【両角東海大学監督】は、優勝インタビューで、昨年まで「世界で戦える選手の育成」を掲げトラック中心のスピード強化を主にしていたと記憶している。しかし、今年は「箱根駅伝使用に方向転換した」とのコメント。この大きな転換に踏み切るには、我々が想像できないくらいの苦労があったものと考えます。

各新聞や雑誌などマスコミ情報で秋頃の東海大学の評価は、それほど高いものではなかったと思うが、私個人的に各方面から東海大の取組みの変化を聴き、不気味さを薄々感じていたところではあった。

監督・コーチ・選手が箱根駅伝優勝に向け一丸となり、とても厚かった壁を「ぶち壊す」結果となったのであろう。

「東海大学の皆さん初優勝おめでとう!」

惜しくも5連覇を逃した『青山学院大学』であったが、最後まで王者の風格で攻めの走りを貫き清々しくゴールした鈴木選手の姿にも誰もが感動したのではないだろうか?

青山学院大学に来年の巻き返しを期待する世論も更に高まることでしょう。オリンピックイヤーとなる2020年の箱根駅伝は過去に類を見ない盛り上がりとなる事でしょうね。

〜もう一つの箱根の醍醐味〜

〈シード権争い〉

最後まで気の抜けないシード権争いの中に我が母校、中央大学がいた。

また、かつての強豪校 早稲田大学、神奈川大学、明治大学なども我が母校とともに【10番目の枠】を目指し必死に競り合う姿を見た。

10位を走る中央学院大学に追い着くことはなく、シード権を得ることはできなかったが、各大学の【必死の粘り】は世の中に感動を与えると共に、2020オリンピックを活気づけるものになりましたね。

〜最後に〜

私が一番気になったチーム

それは帝京大学である。以下の理由から、来年ブレイクし優勝争いに絡んで来るのではないだろうか?

  • 飛び抜けたエースはいない
  • 秋の10000m記録会やハーフマラソンで好記録を出すものが多く見られた。
  • 選手の力が拮抗し、まとまりを感じるチーム
  • 1年生から4年生までバランスの良いチーム

今後是非、注目しておいて頂きたい。

総評

今年の箱根駅伝は、終盤まで順位の入れ替わりの激しい大会となり、5連覇が固いと言われた青山学院大学の小さな誤算から新王者『東海大学』が誕生した。

その中で沢山の大学生の成長が感じられた大会であった。日本陸上界が『2020東京オリンピック』に向け、勢いを加速させた瞬間を見れた様に思う。

次回、vol.4を乞うご期待ください!

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