心と心の襷(たすき)リレー
私の駅伝指導のこだわりとして『襷の渡し方』という事も力を入れています。皆さんは襷(タスキ)の受け渡し方って、そこまで深くご覧になられていないのではないでしょうか?
渾身の力を振り絞り、全力で次の走者へタスキを渡そうとする姿はテレビでよくご覧になられている事と思いますが、そのタスキリレーにおいて”全力を出し切り中継所へたどり着き襷を渡し終えた選手”が、”これから走り出そうとする選手”と交錯して転倒するシーンを時々見ませんか?「あーっ、危ない!」って。
“襷“渡しにも工夫
私たちにはその受け渡しにもちょっとした工夫をしています。次の走者がスムーズに走り出せるように”前走者は右手で”襷を渡し”次走者は左手で”タスキを受け取る様に心がけています。
これは4区嶋津(3年)▶︎5区三上(3年)へのタスキリレーですが、足が攣りかけて今にも転びそうになりながらタスキを渡した嶋津でしたが、接触することなく三上は”左手で”襷を受け取りスムーズにスタートを切っていきました。
上の写真は前回96回大会の1区▶︎2区のタスキリレーのシーンですが、タスキを渡し終えた米満選手の進む方向と襷を受けたムイル選手が進む方向が同じで接触しそうになっていますね。
タスキリレーの秘訣
上の図1は前96回大会での創価大タスキリレーを説明したもので、図2は97回大会の創価大タスキリレーを説明したものです。日本の道路事情により、大半の中継点は”左側の側道”や”左側の道路の駐車帯”に設置されています。よって、前走者は中継点に斜めに侵入してくる事になり、”右手で”タスキを受け取ってしまうと前走者は次走者に向かって走ってくる事になって両者が交錯しやすくなります。
一方、次走者が”左手で”タスキを受ける事で走って来た前走者はそのまま左側に逸れて(それて)行く事ができて、次走者は右側にスムーズに走り出して行ける為、交錯すること無くスムーズなタスキリレーが行えるという訳です。
日本人は右利きの人が多く、通常”右手で”タスキを受け取る選手が多いのですが、今年の97回大会の創価大学駅伝部には全て”左手で”タスキを受けるように指示をして大会に臨んだのでした。
思いやりの心
ちょっとした相手への”思いやり”の心が、次走者へ心の余裕を与え、緊張が解れる(ほぐれる)要因にも繋がるのです。創価大学駅伝部の総合2位という大躍進の影には、この様な小さな積み重ねが結果として顕れています。
ブログのタイトルでもありますが、『走る姿がその人の心を顕す』それは、『走る人の心が結果に顕れる』ということでもあるのです。私の指導の根底でもある『心』の育成を今後も地道に続けていきたいと思います。
箱根駅伝をもう一度見よう!
上記の襷リレーを踏まえて、箱根駅伝をもう一度見返してみましょう!このご時世、録画していなくても色々なネット動画で閲覧できますよね。私が走った頃の箱根駅伝の動画でさえ、未だに見る事ができる便利な世の中!
各出場大学の細かな気遣いなど”心の襷リレー”が見えてくるはずです。特に意識して中継点をチェックしてみて下さい。「なるほど!」が沢山詰まっています。それが『箱根駅伝』の醍醐味ですから。
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30年以上前ですが私の創価大学在学中、駅伝部があることを聞いてはいましたが、どこで練習しているのかその存在を感じることができず、淋しく思っていただけに、近年の大躍進に夢中になって応援しています。
競技を通して「心」を育成する…そして成果を出している…簡単なことではありませんし、大学教育の一貫として行われていることの魅力、奥深さに引き込まれています。
在学中に共に過ごしているような気持ちで、応援しています。
日々のご指導、本当にありがとうございます。皆様のご健康とさらなるご活躍を心よりお祈り致します。
土井様
ご返信がなかなかできずに今になってしまいました
弊社でも今年初めて夏の強化合宿を視察させて戴きました。そこでの練習を拝見させていただき創価大学駅伝部は今年もやれるチームであることを確信させていただきました。今後弊社として、箱根上位を目指す他の大学様も可能な限りサポートしてまいります。その辺りの取り組みも皆様にお伝えできたらと思っております。
勝つためが真の目的ではない。なんのために勝つのか。目標や壁は自分が自覚して掲げるのである。掲げた目標や壁を避ける弱虫になにができる。掲げた目標、壁を乗り越えるのも自身に他ならない。仲間を信じ、信じられる青春時代をおくることが後の人生に計り知れない貴重な宝を刻む。仲間と共に自身の弱さを乗り越えた勇気と経験は宝となり、人生の困難をまた乗り越え、幸福を開く力となるでしょう。
襷にも意味があった事に感動しました。思いやる心がた〜くさん詰まっている心こそ大切!そんな走りを感じてました!また、その次なるストーリー、楽しみにしてます!私も頑張ります!
駅伝が伝統として残ってきたのには、色々な奥深さがあるからなのですね。このブログに、感動しました。