〜運営管理車からの箱根駅伝〜
このお正月、箱根駅伝ファンの皆様の多くは、沿道またはテレビの前で観戦していたことと思われます。
私はというと、今回創価大学駅伝部監督と言うチャンスを頂き、初めて監督車(運営管理車)の助手席から箱根駅伝の観戦することができました。
運営管理車での仕事は、走行する選手の後方に着いて戦況を見守り、『各区間との情報共有を行う』『選手に声を掛け、元気づける』事。
今回は、その運営管理車(監督車) と言う違った角度から見た箱根駅伝について書いて見ました。
運営管理車(監督車)
今回我々が乗車したのはトヨタ自動車のステーションワゴン。大会の各車両はプロのドライバー付きでトヨタ自動車から提供されたもの。
創価大学の車は赤青のストライプが入り、オシャレで強そうな印象の車(以下:創価号と表記)。
運営管理車に乗車する人
•競技運営委員
•走路管理員
•監督
•アシスタント(チームスタッフ)
•ドライバー
以上
上記5名が乗車しており、特に競技役員は創価号の走行方法や選手の走行管理を車中から管理(審判)しています。時には先導する白バイと連絡をとり、選手への声かけポイントで他のチームの管理車とのローテーション誘導を行なってくれます。
運営管理車のルール
①車両と運転手
大会協賛のトヨタ自動車から用意(プロドライバー付き)
期間中のみ乗車が可能
②声かけポイント
1km、3km、5km、10km、15km、残り3km、残り1km
③車列
スタート時は前年の順位。スタート後は選手の走る順位で、係員の指示のもと入れ替わり
④ ローテーション
並走時や選手が連なっている時は、各地点の声かけが終了すると後ろの車と入れ替わり順次声かけ
⑤マイクパフォーマンス時間
1分以内で声かけを終える
ポイント地点以外での声かけは禁止(緊急時を除き)
いよいよスタート
東京大手町のスタート地点に選手たちが並ぶ頃、我々も運営管理車に乗車する準備を整え号砲を待ち、選手が一斉にスタートすると20台以上の車列が選手たちの後を追いかけます。
1区では、予想以上のハイペースだった事もあり集団も距離を追うごとに徐々に人数が絞られていきました。しかし、乗車する創価号はこれまでの戦績から車列のかなり後方に配置されており、残り3kmと言う場面でも先頭集団すら全く見えない位置を走行しておりました。
ようやく道幅も広くなり車線が増えた路線で前に出られる状況になった時にはもう中継所まで1kmの地点。1区米満にもかろうじて、「まだ追いつけるからラストまで貯めて一気に行け!」っと一声かける事ができました。
そこからテレビでもご覧になられた米満のラストスパートシーンが展開。米満も必死に創価号からのアナウンスに応えくれラスト300mから一気に後続を突き離し創価大学初の区間賞を獲得してくれました。
その時の車中はと言うと、全員が大興奮で同乗していたチームの瀬上総監督はじめ競技役員の方々とも拍手やら握手やら、という盛り上がりでした。
選手たちに響くことばを!
実は運営管理車から選手たちへ声を掛けられるポイントは大会運営のルールで決められており、そのために競技役員が同乗しているようなもの。なので、どのチームの監督さん達も『どんな言葉を』『どのタイミングで』掛けるのか? を戦況を見ながらタイミングを見計らっているのです。
選手たちもかけられる言葉で頑張れる要素になってくるので、これも各チーム同士の駆け引きや、駅伝の見どころとなっています。TVでも放映されている通り、名監督ほど的確で瞬時に選手に響く言葉を用意していますね!
初監督の私はと言うと、4区平塚〜小田原を走った福田へのマイクパフォーマンスを例に出しますが、福田といえばチーム内では言わずと知れたジャニーズ『嵐』の大ファンなのです。コース中盤に二宮(地名)を通過しますが、
この「二宮」通過あたりで福田の気持ちを乗せれば争っているチームを引き離せるかも?と淡い期待を寄せながら福田へマイクパフォーマンス!「二宮を通過したぞ、ここで嵐を巻き起こそう!」と声を掛けると、登り坂に入り徐々に後続を突き離しにかかりはじめ、『本当に行っちゃった』と車中は笑いの渦でした。
監督車からの一声集
私が行ったマイクパフォーマンスを区間毎にまとめてみました。
1区:米満
「区間賞を獲って創価大学の伝説を作るぞー!」
「まだ追いつけるからラストまで貯めて一気に行け!」
しっかり区間賞を獲得してくれ、最高の流れを作ってくれました。
2区:ムイル
「ムイルさん、余裕があったら仕掛けようか?」
声を掛けた後、集団から離れ始めました。涙
3区:原富
「長い故障を乗り切った精神力があれば、この苦しさは乗り越えられるぞ。」
各校のエース級が揃う中、しっかり粘ってくれました。
4区:福田
「二宮を通過したぞ、ここで嵐を巻き起こそう!」
5区:築舘
「最初で最後の箱根の山を楽しめてるか?」
「今日のツッキーは一段とカッコいいぞ」
目標レポートに私の好きな言葉『走姿顕心』を使って自分の走る姿で感謝の気持ちを伝えたいと言ってくれましたが、充分に伝わりましたね。
6区:葛西
「箱根駅伝から世界へ羽ばたくぞ」
ぶっつけ本番の6区を1年生ながらよく耐えてくれました。
7区右田へ
「綺羅、名前のように輝くぞ!」
これを言った後に、テレビの実況で「綺羅の名前の由来は◯◯キラーになって誰にも負けないこと」と放送されました。みんな「初めて聞いたよ!」と車の中で呟きました。笑
8区:大海
「ここは地元!みんな大海の応援団だ」
「遊行寺の坂で勝負しよう」
競り合っていた選手を引き離したものの、ここで力を入れ過ぎてしまいラスト1kmで離されてしまいました。(私の追い込み過ぎ??)
9区石津へ
瀬上総監督MP
「おまえの良さは粘りしかない!」
終盤に離されはしましたが、区間6位の見事な『粘り』を見せ、本当に粘りしか印象に残っていません。笑
10区嶋津へ
「23kmあるから余裕を持って入ろう」
指示も虚しく、ハイペースからの展開。車中では冷や冷や(汗
途中で足を気にする仕草を見せる。
「嶋津、足は大丈夫か?」
問いかけに両手を広げ
「全く問題ないっすよ」的なジェスチャー?
車中では総監督と、ほっと胸を撫で下ろし、少し安心しましたが、後で本人に確認したところ「何と言ったか分からない」というジェスチャーだったようです(汗
「嶋津、シード権獲ったら今日はヒーローだぞ!」
その通り、嶋津雄大がヒーローになった瞬間を見ました。
今回、創価号から見た選手の後ろ姿は堂々としておりその背中は大きく感じました。練習で見る姿よりも何倍も大きく見えたのは、それぞれの選手の自信の現れでもあるのでしょう。
また今回の箱根駅伝は、当時私が走った時に比べても、沿道の人の多さとどの区間でも、途切れることない応援の人垣に『驚き』と『感謝』の気持ちがいまだに溢れます。
選手達は、本当に多くの方々の声援のおかげで最高の輝きを見せてくれたと思います。
また、私も少しだけ創価号の中から沿道で声援を送ってくださった方々へ手を振ることが出来ました。
来年はこれから更に選手を知り、選手に『瞬時に響く言葉』を一年かけて準備して行きたいと思います。
チームとしても、更なる高みを目指して挑戦をしていきたいと思いますので、今年以上にご注目を宜しくお願い致します。
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榎木さん、この角度からの話を聞いてみたい!とずっと思っていたので、ドンぴしゃりのレポートに、食い入るように読みました。名伯楽に名言あり!ですが、まさに監督車からの声がどれほど大きな力になるのか、計り知れない力ですね。水分補給は「力水」ですが、監督車からの声は「心声」なのでしょうね。感動しました!
まだまだ、聞きたい、聞いてみたいことが満載ですが、更なる進化を遂げる創大駅伝部に大いに期待しています。ありがとうございました!